地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)。
これを森や木、植物が吸収していることはよく知られています。
しかしこれには限界があり、もはや陸上で排出されたCO2を全部吸収するのは不可能とも言われています。
そこで注目されているのが、海。
海底のワカメ、藻類、アマモや植物プランクトンなどは「ブルーカーボン」と呼ばれ、
CO2を吸収して固定することが近年知られるようになりました。
ということは・・・猿島近海で盛んに育てられているワカメも、地球温暖化防止の切り札の1つになるはず!
「猿島ブルーカーボンクエスト」で行うチャレンジは2つ。
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- チャレンジ1
- 本当に猿島近海でCO2が吸収されているのか?を調査し、できるだけ可視化したい!
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- チャレンジ2
- 未来を担う高校生・大学生がブルーカーボンを知る機会を設け、発信するツアーをつくりたい!
この調査によっては、もしかしたら
〝猿島島内で排出されるCO2が周辺の海で吸収されている=猿島がゼロカーボンの島〟
であることが証明されることになるかもしれません。
とっても地味ですが、地球のためには大切な大切な一歩になるプロジェクト。
果たして、猿島近海のワカメが世界を救うカギになるのか?!・・・タイムラインで動きをお伝えします!
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モニターツアーとは
これまで猿島ブルーカーボンクエストでは
- チャレンジ1
- 本当に猿島近海でCO2が吸収されているのか?を調査し、できるだけ可視化したい
を行ってきました。
測定の結果、海藻が生育している猿島近海は、他の海域よりもCO₂濃度が低いことが証明されました。そして今回は、
- チャレンジ2
- 未来を担う高校生・大学生がブルーカーボンを知る機会を設け、発信するツアーをつくりたい!
として、小学校低学年~60代まで約40名の方が参加して、1月9日にモニターツアーを開催しました!
当日のプログラムはこんな感じ。
- ブルーカーボンを「知る」
- 猿島わかめ「さるひめ」の収穫体験
- 猿島SDGsを学ぶガイドツアー
- 「さるひめ」を使用した軽食
まさに「知る」「見る」「食べる」といろいろな魅力がつまったツアー。
ここでは、大盛況だった当日の様子をたっぷりお届けします! -
モニターツアー 01
~オリエンテーション編~ ブルーカーボンを「知る」
まずは、小学2年生の瀬之上綾音(あやね)さん、海上・港湾・航空技術研究所(通称:港空研)の桑江朝比呂 (ともひろ)先生によってブルーカーボンのしくみを学びます。まずは、「第2回海洋インフォグラフィックコンテスト」でブルーカーボンについて解説し、最優秀賞を受賞したパネルを用いて、海藻類がCO₂を吸収するメカニズムを、わかりやすくプレゼンしてくれました。
さらに桑江先生からは、先月の公開測定で分かった猿島近海のCO₂濃度について、調査・計測結果を解説いただきました。
このあと、SDGsの考え方をもとに「環境×観光×学び」の循環をめざす「つづく みんなの猿島プロジェクト」紹介も行われました!
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モニターツアー 02
~体験クルーズ編~ 猿島ブルーカーボンを「見る」
そしていよいよ三笠桟橋から出港!
天気にも恵まれ、絶好のクルーズ日和となりました。
猿島わかめ「さるひめ」が育っている養殖エリアは、猿島のまさに目の前です!
漁師・譲原亮(ゆずりはら りょう)さんにご協力いただき、収穫作業を見学しました。「さるひめ」とは、海流が速かったり横須賀の山々から注がれる栄養豊富な水がある猿島周辺の海域で育った良質なわかめ。特に、早どれの猿島わかめを「さるひめ」と呼んでいるのです。
最初は10cmくらいの長さだったのが、1か月ほどで約1mまで成長!
そんな「さるひめ」を漁師さんから船上で渡される、というめったにない体験に、参加者は大興奮でした。 -
モニターツアー 03
~猿島編~ ブルーカーボンの主役・地元産のわかめを「食べる」
船は一路、猿島へ。上陸して体験するのは、猿島SDGsを学ぶガイドツアーです。
島内の主要なスポットをめぐりながら、猿島にまつわる問題をみんなで解いていき、答えをSDGsの17個のターゲットに当てはめます。
ガイドの案内で、歴史、未来のエネルギー、自然に関係したモノ・コトまで幅広く学ぶことができました!ガイドツアーから戻ると、さきほど収穫した「さるひめ」を試食。
実は「さるひめ」の流通開始はモニターツアーの翌日から。特別に、一般に流通される前に食べられる機会となりました。
一口大にきざまれたワカメをどうやって食べるかといえば・・・しゃぶしゃぶ!
お湯に通すと、鮮やかな緑色に変わります。お湯に通してそのまま食べるもよし、コノシロという魚の出汁を使ったタレにくぐらせるもよし。超新鮮な「さるひめ」の風味や食感に、皆さん大喜びでした!
加えて、「猿麺」が登場。市内の飲食店「よこすか猿麺」の看板メニューで、猿島わかめが練り込まれたモチモチ食感の緑色の麺が特徴です。さらに、もともとは和歌山県発祥の高菜を巻いたおにぎり「めはりずし」は、高菜のかわりに猿島わかめを巻かれてふるまわれました。
そしてツアーの最後には漁師の譲原さんが再登場し、参加者からは活発に質問が出ていました。まさに、ワカメづくし。
と、ここまで読んでいただいた皆さん、疑問に思いませんか?「CO₂を吸収してくれるブルーカーボンを、食べちゃっていいの?」
「体内から放出されちゃうんじゃないの?」──それが、大丈夫なのです!
桑江先生によると、ワカメとかコンブの〝ネバネバ〟がポイントだとか。あのネバネバ成分の一部が、実は吸収されたCO₂なのです。数百年・数千年と分解されない物質になっているので、食べてもCO₂は排出されないのです。なので、ぜひ安心して食べてくださいね!
これにて、ツアー終了です!
ブルーカーボンについて「知る」「体験する」「食べる」。
猿島や近海での新たな可能性を感じさせるツアーとなりました。
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共同調査 01
~取材会編~ 瀬之上綾音さん、登場!
クリスマスが迫る、12月のある日。
普段は猿島航路の発着が行われる三笠ターミナルで、共同調査の取材会が開催されました。
主役は、海上・港湾・航空技術研究所(通称:港空研)、横須賀市、トライアングル、
そして、小学2年生の瀬之上綾音(せのうえあやね)さん!
実はこの方、通常だと難しすぎるブルーカーボンの仕組みをわかりやすく解説し、
第2回海洋インフォグラフィックコンテストで最優秀賞を受賞されています!
参加者は、瀬之上さんのプレゼンテーションに聞き入っていました!
他にも事業概要の說明を行い、この様子は1/3(火)の神奈川新聞1面にも掲載されました!
(https://www.kanaloco.jp/news/social/article-960108.html) -
共同調査 02
~公開測定編~ CO2測定器、起動!
取材会のあとは、船で海上へ。
海水のCO2濃度を測る、公開測定をおこないました。
銀色の測定器が導き出す、気になる結果は・・・
海藻が育っている場所は、他の場所よりもCO2濃度が低いことがわかりました!
やはり、海藻がCO2を吸収しているんですね!
実際に数字で確認すると、さらに実感が湧いてきました。
さらに空中、水中ドローンも大活躍!空から海からブルーカーボンを観察した1日でした!
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探査報告 01
ブルーカーボンを探せ!水中ドローンで捜索してみた。
猿(去る)、8月の暑いある日。
横須賀の新三笠桟橋に、最新のドローンが運び込まれました。ドローンといっても、空中ではなく水中撮影用。見た目もかっこいいです。
猿島沖の海に投入し、ドローンから送られてくるライブ映像を観察していると・・・
ありました!
夏場なので大きくはありませんが、頑張って海の流れに耐えるワカメを見つけました。
CO2を吸収するブルーカーボン生態系、いつもフェリーが通り過ぎる海の下にも、息づいています!